法定相続(ほうていそうぞく)どおりなら遺言書(ゆいごんしょ)はいらないのか?
こんにちは。岡山県中区の東岡山駅の近くで入管手続きや相続のご相談をメインに成年後見や任意後見、自動車手続きなどの業務を行っております、椎名行政書士事務所(しいな ぎょうせいしょし じむしょ)です。
7月も末ですが、毎月更新目標にぎりぎり間に合いました。
「法定相続通りでいいから、うちは遺言書はいらないよね。」とよく言われます。
法定相続なら、親族がその通りに分割すればいいので、確かに改めて書いておくことはない気がします。でも本当にそうでしょうか。
高齢者の方に言われたときは、口に出してよう言いませんが、「あなたが長生きして亡くなった場合、配偶者が元気だという保証はありますか?」と思っています。
私は後見業務をたくさんしています。すると、普通の人が病気等で60代から意思表示ができなくなったり、判断能力が下がって助けが必要だと判断されたりして後見人が付くことがあるということを知っています。
つまり、例えば80代の人が、法定相続通りだからと遺言書を書かずに90代で亡くなったころに、10ほども若くて、元気いっぱいだった配偶者が判断能力がないとみなされている可能性があるのです。
その場合、遺言書があれば不要だった手続きがあれこれ必要になったり、手続きを代わりにやる人を探す必要が出たりと手間がかかります。成年後見人が付いていれば、その人がやりますが、それで面倒ごとをやってくれて助かったなんて思っていると、家庭裁判所から報酬をたくさん払うように言われます。
長寿社会の日本では、このような事例をたびたび聞きます。あの時書いていれば、、、もしくは、書いてもらっておけば、、、。うちのような小さな行政書士事務所でも、遺言書があればこんなに面倒なことにならなかったよね。と嘆く相続人がこられます。
それに、どんなしっかりした人でも家族が亡くなった時にはがっくりときて、難しい手続きをしたり相談をしたりすることが億劫になることがあります。それは当たり前のことです。
遺言書があれば手間が減る。
考えることも相談することも減る。
これは大事なポイントです。
また、遺言書の仕事をしていると、遺言書を書こうとするとどの人も必ず通帳を整理したり、財産の整理をしたりします。これが残された人にとってはとてもありがたい大事なことだと思います。
何もしていない人だと、相続手続きを始めた途端、後から後から通帳が出てきて解約手続きだけに何か月もかかったり、確認のために書類を何度も送らなくてはならなかったりします。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなられてから、たった10か月しかありません。その間に、財産調査をして、分割の手続きをして、相続税を申告するのは、大変です。
信仰している宗教によりますが、通常はその間に、お葬式をして、法事をして、香典返しを送って、初盆が来て、納骨をして、と仏事もたくさんあります。
遺言書に書いてあれば、財産調査の手間が減りますし、分割の手続きはいりません。時間の余裕がたくさんできます。故人をしのぶ時間があるというのはとても大事なことだと思います。
他にも遺言書が絶対にあったほうがいい人がいますが、それはまた次の機会に。